IPSJ情報処理カタログ #ジョーショリ

用語集

リアルタイム性

りあるたいむせいReal Time(RT)

概 要

リアルタイム性とは、プログラムの処理が設計した時間内に必ず実行されるなどのように、現実時間と処理との間の関係を意識して作られている、という性質を意味する。

高性能なコンピュータで瞬時に処理できるかどうか、という点は重要ではなく、低性能のコンピュータでも、遅いは遅いなりに毎回必ず設計された時間内に処理が完了していれば、リアルタイム性があると言う。

解 説

プログラム実行中において、「ボタンが押された」「センサーに反応した」など何らかのイベント発生時に、決められた時間内に別の処理へ移ってその処理を完了できるなどのように、時間を意識して設計されているものをリアルタイム性があると言います。

通常コンピュータは何十何百というタスクを並列実行(マルチタスク)しているのでリアルタイム性の確保は難しいとされています。リアルタイム性を確保するにはOS側の対応が必要で、そのような機能をもつOSをリアルタイムOS(RTOS)と言います。

リアルタイムOSには、柔軟なタスク優先度、最悪応答時間の保証、少ないリソースでも確実に動く軽快さ、といったリアルタイム性を確保するための機能が備わっています。

その性質上、電化製品や自動車、産業機械など、現実時間での出来事に瞬時に確実に反応しなければならない組み込み分野で用いられています。

自動車は元々、小規模なコンピュータの集合体だったが、複雑な制御がふえてきたため
高性能コンピュータとリアルタイムOSを搭載するようになった。

実現できること

  • ・高度な先進安全技術を持つ自動車。
  • ・航空機の制御システム。
  • ・大型ロケットの誘導装置。
  • ・惑星探査ローバーや人型ロボットの頭脳。
  • ・身体の状況をリアルタイムにモニターする医療機器。
  • ・自動調理機能のある調理機器(高機能オーブンレンジなど)。

将来の展開

コンピュータの高性能化に伴って、リアルタイム性が求められる組み込み用途でも高機能化、大規模化が進んだことから、全体を統制し開発を容易にするリアルタイムOSが広く普及、発展してきました。そしてIoT化やネットワーク活用など、ますます複雑化する組み込み分野において、リアルタイムOSの重要性は高まっています。

一方で、コンピュータの高性能化が進みすぎた現代では、AndroidやLinuxのような汎用OSでも十分なリアルタイム性が発揮できるようになっていて、より開発しやすく、多機能な汎用OSを採用するケースも増えています。

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