IPSJ情報処理カタログ #ジョーショリ

用語集

パターン認識

ぱたーんにんしきPattern Recognition

概 要

パターン認識とは、画像や音声といった複雑なデータから一定の規則を見出し、あらかじめ複数定めておいたカテゴリのどれか1つに当てはめていく処理。文字認識、音声認識、顔認識などがパターン認識の一例。

解 説

私達が普段何気なく文字を読んだり、人の顔を見分けたりできるのは、目で見た情報を瞬時に分類し、記憶にある情報と結びつけられるからです。これをパターン認識といい、コンピュータにも同じことをさせようと古くから研究が行われていました。

パターン認識は教師あり学習を用いてコンピュータにパターンを学習させる方式が一般的です。たとえば手書き文字のパターン認識の場合、正解のラベルを付けた手書き文字をコンピュータへ入力し、その特徴を抽出して識別辞書へ学習させていきます。

文字認識時は、読み込んだ画像から1文字ずつを取り出して特徴を抽出し、あらかじめ学習させていた識別辞書の特徴データと照らし合わせて、対応する文字に当てはめていくのです。

音声認識や顔認識など、他のパターン認識でも同様の処理を行います。

パターン認識では、特徴抽出をどのようにするかが認識率を大きく左右する鍵です。以前は定番アルゴリズムに研究者の経験と勘でアレンジを加えたシステムなどが用いられていましたが、ディープラーニングの登場で状況は一変しました。コンピュータ自身が学習の過程で重要な特徴点を見出すことができるようになり、しかも人間が想像もつかないような場所から的確な特徴点を見出せるようにもなったので、パターン認識の認識率が大きく向上したのです。

その結果、生活の身近なところでもさまざまなパターン認識が実用化されるようになりました。

実現できること

  • ・OCR(光学的文字認識)。古くから実用化されている文字認識機械としては、郵便物を自動的に仕分けする郵便区分機があります。
  • ・音声入力。スマートフォンの音声入力アシスタントや音声検索はパターン認識で成り立っています。
  • ・デジカメの顔認識。人の顔を識別してピントを合わせたり、顔色を良く見せたりできるようになります。
  • ・さまざまな生体認証。指紋、顔、静脈、虹彩など、セキュリティを守る生体認証はパターン認識が使われています。
  • ・道路標識識別。自動車に搭載したカメラで道路標識を認識して制限速度を知らせたり、道路の白線を認識してレーンキープします。
  • ・病変部の発見。レントゲン写真や内視鏡画像から、画像認識で病変部を発見します。
  • ・製品検査。工場の生産ラインなどで、製品や部品の種類分けや、不良品の検出に画像認識が使われています。
  • ・農作物の育成状況判断。ドローンによる空中撮影映像から農作物の状態を画像認識で判断し、収穫時期予想やピンポイントでの農薬散布などが行えます。

将来の展開

ディープラーニングの登場でパターン認識は大幅に進歩し、さまざまな場所で使用されるようになりました。自動車の自動運転や、医療での病変部発見サポートなど、直接生命にかかわるような分野でも信頼を得て使用されるレベルに達していて、今後もさらに精度を上げていくでしょう。

パターン認識はロボットの目としても重要な技術なので、ロボティクス技術の進歩にも合わせて応用範囲は広がっていくと考えられます。近い将来、家事介護ロボットの安全性を守る優秀な目として家庭内で働いているかもしれません。

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