IPSJ情報処理カタログ #ジョーショリ

用語集

プロトコル

ぷろとこるProtocol

概 要

儀礼や典礼、議定書を意味する言葉で、平易な言葉にすれば約束ごと。IT分野では、主に機器同士が通信を行うために定めたルールのこと。通信プロトコルとも呼ばれる。機種もメーカーもまったく異なる機器同士で確実に通信できるように用いるのがプロトコルで、現代のインターネット社会を支えている技術。

解 説

プロトコルは通信を行うためのルールを定めたものです。通信は互いに同じルールに則っていなければ成立しないので、規格化されたプロトコルを用いて通信を行います。

ネットワーク通信ではデータを小さく分割(パケット化)して送受信するパケット通信が一般的です。分割したデータひとつひとつの先頭に、データの宛先などを記したヘッダを追加して1つのパケットを形成します。このヘッダの内容などがプロトコルで定められています。

そしてネットワーク通信では、アプリケーション層からハードウェア層へデータが渡されるたびに、複数の異なるプロトコルでパケットを入れ子状に(カプセル化)していく階層構造を採用しています。こうすることで、アプリケーション層がハードウェア層の実装を気にしなくていいようになっています。

ネットワークの階層モデルはISOで定めた7階層のOSI基本参照モデルが基本的な考えとなっていて、私たちが普段インターネット通信で利用しているTCP/IPプロトコルは4層に簡略化したモデルを採用しています。アプリケーション層から送信されたデータは、各階層のプロトコルごとにカプセル化(荷造り)され、最終的にはLANケーブルや光ファイバー、無線などさまざまなハードウェア経由で相手方のコンピュータに届きます。届けられたデータは、今度は逆に各階層のプロトコルごとに荷解きをしていって相手方のアプリケーションが受信するといったイメージになります。

実現できること

  • ・インターネット通信。よく目にするIPアドレスのIPはInternet Protocolの略です。プロトコルで定められたアドレスを用いてデータの送受信を行う方式が現在のインターネットの根本となる部分です。
  • ・Webサイトデータの送受信。Webサイトのデータ通信にHTTPというプロトコルが用いられます。
  • ・メールの送受信。メールの送受信にはPOP、SMTP、IMAPといったプロトコルが用いられます。
  • ・ファイルの転送。ファイル転送にはFTPというプロトコルが用意されています。
  • ・さまざまな経路でのインターネット接続。4G/5GやWi-Fi、電話線から光ファイバーまで、さまざまな経路でインターネットに接続できるのも、それぞれの方式に適したプロトコルで送受信データのパケットをカプセル化する階層構造だからです。
  • ・独自のネットワーク機能。プロトコルはインターネット以外のさまざまな通信でも独自のものが用いられています。代表例はWindowsでネットワーク共有を構築するために使われていたNetBEUIやSMBがあります。
  • ・周辺機器の接続。プロトコルはネットワーク通信で使われるだけではありません。周辺機器を接続するUSBやThunderboltなども、それぞれのプロトコルでデータの送受信を行います。
  • ・コンピュータ内のチップ同士の通信。コンピュータ内部のチップ間の通信にもプロトコルは用いられています。代表例はPCI Expressプロトコル。

将来の展開

現在のインターネット通信はさまざまなプロトコルによって支えられています。快適なインターネット接続の裏では日々プロトコルの研究が進められてきていて、セキュリティや速度面での改善が図られてきました。2021年時点では、次世代Web通信プロトコルHTTP/3と、TCPに代わって用いられるQUICプロトコルの規格策定が予定されています。今後も増え続ける通信量をさばき、さまざまなサービスを提供するために、セキュアで信頼性の高い通信の実現を目指してプロトコルの進化は続いていくでしょう。

PAGE TOP