IPSJ情報処理カタログ #ジョーショリ

用語集

無線通信

むせんつうしんWireless communication

概 要

離れた場所で、配線することなく、電波を用いて通信する仕組み。古くは1895年、イタリアのマルコーニによって発明された技術で、「トン」「ツー」の2つの信号からなるモールス信号をやりとりできるものだったが、その後、「変調」という仕組みを使って、音声を電波に乗せられるようになり、ラジオやテレビが実現した。

携帯電話やスマートフォンの通話や通信ではデータの量が格段に多くなったが、変調を使っているという意味では変わっていない。

解 説

電波とは,電界と磁界が連鎖反応を起こし、振動しながら空間を飛んでいく電磁エネルギーの波のことです。この電波を用いて、相手に信号を伝えるのが無線通信です。

1秒間に繰り返される波の数が「周波数」で、単位「Hz(ヘルツ)」で示されます。周波数が高いほど伝達できる情報量が多い一方で、減衰が大きく、遮蔽物の影まで回り込む能力が低くなってしまうため、短い距離しか飛びません。

電波に信号を乗せることを「変調」と言います。変調には、いくつかの方法がありますが、「0」と「1」から構成されるデジタル信号を送信するときにわかりやすいのは、「ASK(Amplitude Shift Keying)」と呼ばれる方式です。この方式では、「0」のところは電波を出さず、「1」のところは電波を出すようにします。こうした電波を受信側で元に戻せば信号を取り出せます。元に戻すことを「復調」と言います。

Wi-FiやBluetoothなど、スマートフォンやパソコンで使っている通信も基本的な仕組みは、これと同様ですが、より高速に通信できるように、そしてノイズに強く、より遠くまで飛ばすため、さまざまな工夫がされています。

実現できること

  • ・ラジオ、テレビなどの放送
  • ・携帯電話やスマートフォンなどの3G回線、4G回線、5G回線などの通話・通信
  • ・Wi-Fiなどのスマートフォンやパソコンのインターネット通信
  • ・ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスマウス、ワイヤレスキーボード

将来の展開

無線は相互通信するものなので、きちんと規格を決めて、皆がそれを守ることが重要です。たとえば、スマートフォンやパソコンでインターネットに接続するときに使うWi-Fiは、「Wi-Fi Alliance」という団体が規格を決めているため、その規格に準拠していれば、どのメーカーのものであっても、互いに接続できるようになっています。

ワイヤレスヘッドホンやキーボード、マウスなどを接続するときに使うBluetoothという規格も同様です。こうした規格は、無線技術の向上により、より速く、遠くまで届くよう、さらなる研究が進んでいます。

また近年では、高速化だけでなく、安全性に対する取り組みも重要視されています。電波は伝えたい相手以外でも受信できてしまうためです。そこで伝えたい相手以外には受信した信号を読めないようにするための暗号化の仕組み、伝えたい相手かどうかを確認するための認証の仕組みも進化しています。

補 足

電波は真空中でも伝わります。人工衛星など、宇宙との通信も、地上の通信とまったく同じ仕組みです。

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