IPSJ情報処理カタログ #ジョーショリ

用語集

モーショントラッキング
センサー

もーしょんとらっきんぐせんさーMotion Tracking Sensor

概 要

人間や動物などの動きを測定し、コンピュータに取り入れる操作。センサーを取り付けたり、カメラで動きを撮影したりして、頭や首、手足など、主要な関節の位置がどこにあるのかを測定もしくは類推する。

解 説

モーショントラッキングセンサーを使うと、動きをコンピュータに取り入れて解析したり、それと同じ動きをする3D映像をコンピュータのなかに作り出したりできます。

近年では、3Dアニメーションで、あたかも人間と同じようにリアルなダンスをするというものがありますが、こうした動きは、モーショントラッキングセンサーを付けた人間が実際に踊り、それと同じ動きを3Dアニメーションに適用して動かしています。

モーショントラッキングセンサーは、主に、頭や手足の関節に「マーカー」と呼ばれる球体を取り付けるものと、そうしたものを取り付けずにカメラ撮影だけ実現するものの2種類に分かれます。

マーカーを使う場合は、人がマーカーを取り付けた状態で動き、それを複数台のカメラで捉えたり、マーカーの動きによって起こる磁場の変化を捉える磁気センサーを使ったりして計測するため、装置が大掛かりになり、スタジオのような広い場所が必要です。反面、正確かつ高速に動きを取り込めます。

マーカーを使わない場合は、画像認識とAI技術によって、映像から頭や手足の向きを類推します。簡易なものであれば、カメラが1台あればモーショントラッキングできるため、手軽で設備も必要ありません。また動物のように、マーカーを取り付けるのが困難な対象にも使えます。しかし類推間違いが起きることもあり、正確さに欠けます。また処理速度の問題から、高速な動きのトラッキングも苦手です。

モーショントラッキングセンサーは、3Dゲームやアニメーションの製作現場などで幅広く使われている他、スポーツで選手の動きを捉え、よりよいフォームを研究したり、スポーツ番組で、動きをビジュアルに表示して娯楽性を高めたりするのにも使われています。

実現できること

  • ・リアルな動きをする3Dゲームやアニメ
  • ・自分と同じ動きをする3Dのキャラクター
  • ・スポーツのフォームの研究
  • ・動物の動きの研究

将来の展開

マーカーを必要としないモーショントラッキングセンサーの登場によって、専用の機器を必要とせず、少し高性能なパソコンとWebカメラなどでも、簡単なモーショントラッキングが実現できるようになりました。

こうしたものを使えば、アニメーションのキャラクターが、自分と同じ動きをするので、そのキャラクターへの「なりきり」ができるようになります。たとえば、カメラで顔を撮影し、それと同じ表情をするキャラクターをビデオ会議に登場させたりするソフトウェアが、すでにあります。

いまは、さほど正確ではないので、「近い動きをする」というところですが、より正確かつ高速に動きを測定できるようになれば、コンピュータのなかで、自分と同じ動きをする分身を作り、仮想的にコンピュータのなかでスポーツ対戦することも可能になるかもしれません。

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