IPSJ情報処理カタログ #ジョーショリ

用語集

遠隔教育システム

えんかくきょういくしすてむDistance Education System

概 要

教師と生徒が同じ場所で対面して教育を提供するのではなく、インターネットなどを使って離れた場所から教育を提供するためのシステム。

解 説

遠隔教育システムは、遠隔地同士を同時双方向通信で接続する「遠隔教育」を支援するためのICT(Information and Communication Technology)ツールです。

実際に使用するツールとしては、遠隔地同士で通話を行うためのビデオ会議システムと、それらのシステムに適したマイク、スピーカー、カメラなどが必要になります。

遠隔教育の特徴としては、移動のコストを削減できること、新たな学び方を創出できることなどが挙げられます。文部科学省では、その効用として次の3つを挙げています。

  • ・1 多様な人々とのつながりを実現……教室同士を接続して互いの生徒の交流を図ります。海外の生徒と交流したり、小規模校の生徒が他校の生徒と交流したりすることで多様な考えに触れる機会を作れます。
  • ・2 教科の学びを深める……遠隔地にいる専門家から話を聞いたり、教室にいながらさまざまな場所を見学したりすることが考えられます。また、学校に教師が在籍していない専門科目の授業を遠隔教育で受けることも可能になります。
  • ・3 個々の生徒の状況に応じた教育……病気療養などで登校できない生徒への学習指導などが考えられます。

以上に挙げた例は、あくまで対面教育の補強としての遠隔教育になります。文部科学省の方針として基本は生徒同士が交流できる対面教育をベースとし、遠隔教育はその幅を拡げるものという位置付けでした。

しかし2020年に起きた新型コロナウイルス流行による全国的な学校閉鎖から、各生徒が自宅からでも受けられる遠隔教育をベースに据えた教育方針についても関心が高まっています。

実現できること

  • ・遠隔合同授業。離れた学校の生徒と交流をもてます。
  • ・バーチャル社会科見学。教室にいながら全国の社会教育施設を見学、現地の人に質問もできます。
  • ・高度な研究分野への導入。大学の研究室などと接続し、高度な研究分野の解説や質問を受けることで興味をもってもらうことができます。
  • ・生徒ごとの個別学習。たとえば外国人生徒が離れた学校の日本語教室へオンラインで参加するなど、1つの学校ではカバーしきれない、生徒ごとの個別学習の実現をサポートします。
  • ・オンライン学習塾。コロナ禍以後、大多数の学習塾がオンライン学習に対応しました。1対1のオンライン個別指導に対応するところも多くあります。

将来の展開

2021年現在、文部科学省はICTの教育への応用取り組みを行っている最中で、2023年度までを目標に段階的に全国の学校のインフラ整備や生徒1人1台の端末整備を進めています。そんな中でコロナ禍が発生したため、ICTによる遠隔教育への注目が集まりました。結果として、学校閉鎖中に同時双方向通信による遠隔教育をできた学校はごく限られたものであり、まだまだ整備が行き届いていない現状が見られました。

教材や授業方針のICT化が進むことで、普段の授業をそのまま各家庭での遠隔授業として行うことも容易になると考えられます。そのように遠隔授業システムが一般的になることで、「コロナ禍による学校閉鎖」のような緊急事態下でも、問題なく教育を受けられる社会になることが期待されています。

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